
クリアランス調査の業務フローを一気通貫でやってくれるAIの実現性は?
▼2025年3月現在で、AI、特にLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)が使用されているビジネス上のタスクは、「翻訳」「たたき台・アイデア出し」「コード生成」「要約生成」などが挙げられます。筆者を取り巻く環境においては、「翻訳」は既に欠かせない存在、「たたき台作成・アイデア出し」「コード生成」はかなり有用、「要約生成」に関しては有用な場面が限定的といった印象です。権利化の業務ではAI(LLM)が既に大活躍しているけれども、特許調査、特にクリアランス調査の業務ではまだそれほどではない、というのが現状ではないでしょうか。▼なぜ、特許調査業務において、AI(LLM)の有用性は限定的なのでしょうか?説明の仕方はいろいろあると思われますが、筆者なりに端的に述べると、「AI(LLM)にはプロ意識がないから」でしょう。社会人になりたての時、諸先輩方から「プロ意識を持て」と叩き込まれた方が大半ではないでしょうか。「プロ意識」の主な要素とは、ざっくりまとめてしまえば、責任感、価値観、向上心が挙げられます。AI(LLM)は、ミスをしたとき責任をとることができません。AI(LLM)は、いくら考えても結論が出ない、やってみなければわからない事案に直面したとき、リスクをとって判断することができません。AI(LLM)は、自分がした仕事を多観点から自己評価し次につなげることができません。したがって、前述の「翻訳」「たたき台作成・アイデア出し」「コード生成」といった既に有用に使えるシーンにおいても、人間が「プロ意識」をもってチェックすることが不可欠です。▼しかし、ビジネスにおいても「プロ意識」があまり問われない場面では、AI(LLM)が活躍の場を急速に広げていくことは現実となりつつあります。また、多額の資金を投入して急速にAI(LLM)が発達している状況を踏まえると、調査対象品の基礎情報のアップロードからクレーム解釈、対比までしてくれるAI(LLM)が登場する日は遠くないのかもしれません。(但し、特許庁における手続若しくは経済産業大臣に対する手続に係る事項に関する鑑定は弁理士の専権事項なので、AI(LLM)が行った場合お金が発生するときは問題があるような気がします。)
人間が行った結果との比較によるPoCは必要
▼そうは言っても、そのような未来が突然訪れることはありません。なぜなら、クレームの形式や記載ぶりには技術分野ごとに特徴があり、多様だからです。クレーム解釈するためには文言と図面のセットが欠かせない形式/実質的には図面で特定され、その図面の記載方法に技術分野特有のルールがある形式/複数の要素からなる組み合わせを多数包含する形式/技術分野において公認された用語がなく明細書又は図面において定義されている形式/数式・数値範囲で限定されている形式など、クレームの形式には様々あります。それらに対してAI(LLM)にも得意不得意があるのは当然ですから、いつ実用レベルに達するかは形式に依存して大きく前後することになるでしょう。それぞれの形式に対して「プロ意識」の一定程度を委ねられる有効なプロンプトを開発するには、PoCの検証は欠かせません。そうすると、人間が行ったクレーム解釈とAIが行ったクレーム解釈の結果を、1件の特許に関するミクロ分析のみならず、実際の特許調査のワークフローにそって多数の特許を処理する場合のマクロ視点で比較検討することが必要になるでしょう。それには、人間が行った仕分け結果の記録が存在することが重要です。
◆パテリデTMはPoCの対照データ作成に使用可能
▼パテリデTMは、人間が行った仕分け結果を簡便に記録できるツールです。クレームの形式ごとに分類した上で、集計したり、1件ごとに内容を確認したり、備考を記録したりすることができます。PoCの対照データを取得するのであれば、時間をとってしっかりした全件データをとった方が、結果的にAI開発の前進に寄与する蓋然性が高いと考えられます。パテリデTMなら、簡素な記録だけではなく、豊富な情報の記録まで幅広く対応できます。よって、PoCの作業が進んだところで、もっと詳細な記録ができるツールを選べば良かったと後悔する心配はありません。AI開発におけるPoCの対照データ作成にも、是非パテリデTMをご活用ください。